極早生性を有するイチゴ炭疽病抵抗性品種‘かおり野’の育成と普及

書誌事項

タイトル別名
  • Breeding and Extension of the New Strawberry Cultivar ‘Kaorino’ with Extremely Early Flowering and Resistance to Anthracnose
  • ゴク ワセセイ オ ユウスル イチゴタンソビョウ テイコウセイ ヒンシュ'カ オリノ'ノ イクセイ ト フキュウ

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抄録

炭疽病抵抗性と極早生性を併せ持つ高品質な促成栽培用イチゴ品種‘かおり野’を育成した.1990年に‘女峰’,‘アイベリー’,‘とよのか’および‘宝交早生’の間の総当り交配により育成を開始し,その後‘章姫’,‘あかしゃのみつこ’,‘とちおとめ’および育成集団から品種化された‘サンチーゴ’を交配親として加えながら,9世代に亘り相互に交配を繰り返して改良した炭疽病抵抗性系統群のうち,系統‘0028401’と系統‘0023001’を2003年に交配して得られた実生から選抜された.特性調査,現地適応性試験を経て2008年に品種登録出願を行い,2010年に品種登録された.最重要病害であるイチゴ炭疽病に対して,‘宝交早生’および‘サンチーゴ’と同等の強い抵抗性を持つ.‘章姫’よりも強い早生性を示し,普通促成栽培において11月下旬から収穫を開始することができ,12月までの早期収量,3月まで総収量ともに高い.食味は高糖度,低酸度で甘みを感じやすく,上品な香りを特徴としている.果実は大きく,果形は円錐形で,果皮は光沢の強い橙赤色,果肉色と果心色は白である.品種の普及には,行政,研究および普及の各組織と生産者団体が一体になったプロジェクトにより取り組み,三重県に限定せずに県内外の生産者に生産を認める許諾制度を設け,栽培指針を改良しながら消費者に対する販売促進を進めた結果,‘かおり野’を選択する生産者は三重県内外で大きく増加した.

収録刊行物

  • 園芸学研究

    園芸学研究 14 (1), 89-95, 2015

    一般社団法人 園芸学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (3)*注記

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