ウサギ抗胸腺細胞グロブリンを用いた再生不良性貧血の治療:当院における治療成績

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  • Treatment of aplastic anemia with rabbit antithymocyte globulin as first-line immunosuppressive therapy: A single-center retrospective study

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目的: 現在,再生不良性貧血(aplastic anemia; AA)の薬物治療として,ウマ抗胸腺細胞グロブリンに代わってウサギ抗胸腺細胞グロブリン(rabbit antithymocyte globulin; rATG)が用いられている.本研究はAA患者に対するrATGの有効性と安全性を検討することを目的とする.<br>方法: 2009年5月から2013年12月までに当院でAAと診断し,rATGを用いて治療した17例の連続患者を解析した.1例は前治療としてシクロスポリン単剤による治療歴があったが,残り16例は初回治療であった.<br>結果: 年齢分布は8歳から81歳,中央値は68歳であった.重症度は非重症(non-severe AA; NSAA)5例,重症(severe AA; SAA)7例,最重症(very severe AA; VSAA)5例であった.発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria; PNH)型血球は11例で陽性であった.rATGの投与量は2.5または3.75 mg/kg/dayであった.シクロスポリンが1例を除いて併用された.治療開始後6か月の時点で,14例の評価可能患者のうち10例(71%)に部分奏功(partial response; PR)を認め,最終的に2例が完全奏功(complete response; CR)を達成した.NSAAとSAA患者12例のうち9例(75%)がPRまたはCRの効果を示したが,6か月以上フォローした 4例のVSAA患者のうち3例はPRの基準に到達しなかった.治療前後でPNH型血球の割合は変化しなかった. 3例が死亡したが,いずれも75歳以上であった.死亡例のうち2例が心肺停止状態で救急搬送された.観察期間中央値は504日,2年生存率は79%であった.<br>結論: rATGは造血細胞移植非適応のNSAAおよびSAA患者に対して有効な治療法であると考えられる.一方,高齢者にrATGを用いる際は十分注意を払う必要がある.

収録刊行物

  • Tenri Medical Bulletin

    Tenri Medical Bulletin 17 (2), 57-66, 2014

    公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所

参考文献 (27)*注記

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