耳下腺悪性腫瘍の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Malignant parotid gland tumors

抄録

耳下腺悪性腫瘍の組織型は多種に及ぶ。この組織学的多様性に加え,耳下腺はその組織内を顔面神経が走行することが解剖学的特徴である。その診断,治療,さらにQOLを含む予後は,この腫瘍型と顔面神経に対する扱いにより異なってくる。<BR>悪性度の明らかな耳下腺切除例49例の検討では低中悪性群28例の5年,10年疾患特異的生存率はそれぞれ86%,79%に対し,高悪性群21例では48%,31%で,高悪性群は有意に予後不良であった。Cox比例ハザードモデルで多変量による解析を行った結果,T,N,悪性度の3因子が有意な予後因子と認められた。<BR>顔面神経即時再建は耳下腺癌の治療における重要な課題である。われわれも腓腹神経を含む遊離外側腓腹筋皮弁を用いて,この課題に対応している。<BR>mucoepidermoid carcinoma translocated gene 1-mastermind-like gene family融合遺伝子の臨床病理学的特徴を共同研究において検討した。この遺伝子の検出が粘表皮癌に特異的で,予後において良好な群に結び付くことを明らかにした。<BR>今回の検討から,耳下腺癌に対する注目すべき診断治療法として,細胞遺伝学的診断,粒子線治療,分子標的治療が挙げられる。耳下腺癌の発生率は低くまた組織学的多様性に富むことから,これらの診断治療法の適切な評価には多施設による共同研究の実施が必要とされる。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 34 (3), 360-364, 2008

    日本頭頸部癌学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (4)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680198180096
  • NII論文ID
    130004510032
  • DOI
    10.5981/jjhnc.34.360
  • ISSN
    18818382
    13495747
    http://id.crossref.org/issn/13495747
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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