小笠原諸島聟島の鳥類相のモニタリング―自然再生事業による影響評価

書誌事項

タイトル別名
  • Monitoring of Avifauna to Estimate the Effect of Ecological Restoration in Mukojima, Bonin Islands

この論文をさがす

抄録

<p>現在の小笠原諸島では自然再生事業による様々な生態系の変化が生じている.その効果を判定するためには,生物相の変化をきめ細かにモニタリングすることが必要である.小笠原諸島の無人島である聟島では,自然再生事業によって侵略的な外来哺乳類であるヤギCapra aegagrusとクマネズミRattus rattusが近年駆除されたが,その駆除に対する陸鳥への効果を判定出来る基礎的なデータがない.本研究は現在の聟島における鳥類の生息状況を定量的に調べることで,自然再生事業による今後のモニタリングに貢献することを目的とする.今回,我々はルートセンサスを島内2カ所で行い,ネズミ駆除前(2007年)と駆除直後(2011–2012年)における陸鳥の種数と個体数の比較を行った.さらに,2008年から2012年の2月から5月の聟島滞在中に観察された鳥類の種類と数も記録した.ルートセンサスの結果,継続的に観察された在来種のイソヒヨドリMonticola solitariusと移入種のメジロZosterops japonicusのうち,1つのルートにおいてイソヒヨドリ個体数の増加が駆除後に確認された以外は,変化が見られなかった.目視観察では,合計74種のうち32種が聟島で新たに観察された.これらの結果は,将来的に聟島における自然再生事業の効果の評価に寄与すると期待できる.</p>

収録刊行物

  • 山階鳥類学雑誌

    山階鳥類学雑誌 46 (2), 89-100, 2015

    公益財団法人 山階鳥類研究所

被引用文献 (4)*注記

もっと見る

参考文献 (18)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ