予後不良な甲状腺乳頭癌,高細胞型の2症例

書誌事項

タイトル別名
  • Two cases of the tall cell variant: An aggressive form of papillary thyroid carcinoma

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説明

甲状腺乳頭癌(PTC)の特殊型である高細胞型(TCV)の2症例を報告した。患者は66歳と78歳のいずれも男性で,初診時頸部リンパ節腫脹を主訴とし,両者に甲状腺全摘術および両側頸部郭清術を行った。病理組織診断にてPTC中の50%以上に高細胞を認めた。66歳の男性は,術後1年で脳・頸部・腋窩に転移がみつかり,ガンマナイフ照射を3回施行したが,甲斐なく3年で不幸な転機となった。78歳男性は現在放射性ヨード治療を予定している。<br>TCVは,2005年新たにPTCの7特殊型の1型に分類された。特殊型中5~10%と最多であるが,古典的PTCに比べ再発率や死亡率が高く,より高悪性である。病理組織学的診断基準では,古典的PTCの核形態を備えることに加え,好酸性の細胞質を有し,縦横比が2:1以上の高細胞が全腫瘍細胞の50%以上に認められる。50歳以上の高齢者における発生率が高く,さらに腺外進展や頸部・遠隔転移の頻度が高いため,予後不良である。<br>わが国における報告および邦人による英文論文は少なく,渉猟した限り本症例以外に16例を認めたのみであった。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 40 (3), 356-361, 2014

    日本頭頸部癌学会

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