リハビリメイク^[○!R]が更年期症状に及ぼす効果 : WHOQOL26,VAS,クッパーマン更年期障害指数を用いた評価(セミナー,<特集>第37回日本女性心身医学会学術集会報告)

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タイトル別名
  • The Effects of Rehabili-Make (Makeup for Rehabilitation) Therapy for the climacteric symptoms : Evaluation of the Effects using WHOQOL26, Visual Analog Scale and Kupperman's Menopausal Index

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抄録

目的;リハビリメイク^[○!R]とは外傷や疾病などによって顔や身体に損傷を負った人の社会復帰を支援するためのメイクアップである.今回,リハビリメイク^[○!R]が更年期症状を有する患者に及ぼす影響を調査し,その有用性を検討したので報告する.対象と方法;対象は,更年期症状を有する有職者9例(全女性,年齢45〜56歳[平均50.9歳]),クッパーマン更年期障害指数重症V度:1人,重症IV度:3人,中等症III度:2人,軽症II度:2人,軽症I度1人).全例,10日間で計2回のリハビリメイク^[○!R]の講習を受講し,その後1年間は講習に基づいたメイクを自身の手で継続した.リハビリメイク^[○!R]導入前(day0),導入10日(day10)および2週後(day14,この間に第2回の講習を実施),1ヵ月後(day30),6ヵ月後(day180),1年後(day360)のそれぞれの時点で,WHO/QOL(Quality Of Life)26,Visual Analog Scale(自分の外観に対する満足度;以下VAS),クッパーマン更年期障害指数を評価した.さらにVASは,第1回と第2回の受講直後(day0直後,day10直後)にも調査した.結果および考察;WHO/QOL26スコアは全体,身体的領域,心理的領域,社会的関係,環境の計5項目があり,導入前には「全体」と「身体的領域」でのQOL値が低かったが,day14よりday360を通して「全体」のスコアが有意(day14&30:p<0.005,day180:p<0.01,day360:p<0.05)に改善した.VAS値は導入前の33.6mm(平均値)からday0直後に84.2mmまで上昇,第2回受講直前day10には41.9mmまで低下するものの,day10直後には再び89.2mmまで上昇以後1年後も62.3mmと有意な上昇が維持されていた.クッパーマン更年期障害指数は,day10より低下し,day14よりday360まで導入時と比較して有意(p<0.05)な改善が維持された.特に,day180の時点では顔面紅潮,多汗,不眠,易疲労感が有意(多汗:p<0.005,顔面紅潮/睡眠障害/易疲労感:p<0.05)に改善し,day360の時点では顔面紅潮,肩こり・頭痛・四肢関節痛,頭痛が有意(いずれもp<0.05)に改善していた.リハビリメイク^[○!R]導入により良好な結果と本人の同意が得られた3例については,導入前後の容貌と表情の変化を含め呈示する.美容整形などの医療行為とは異なり,カウンセリングに加えて,安価・簡便で即効性を有する可逆的なメイク法を能動的に習得し,それを継続的に実施することは,自分自身の外見に対する否定的なイメージを緩和し,精神の安定と意欲の向上,及び心理・社会的な種々のストレスに対する現実的対処に寄与し,これらが更年期を迎えている女性のQOLや満足度の改善につながると類推した.更には,それらが自律神経系のホメオスタシスを安定させ,更年期症状の軽減という身体症状の改善にも寄与したことは,中高年女性の心身医学的側面からも興味深いものと考えられた.結論;リハビリメイク^[○!R]が更年期症状を有する患者に及ぼす影響を調査し,その有用性を検討した.リハビリメイク^[○!R]は,患者のQOLを改善し,自分の外観に対する満足度も高め,同時に更年期症状が改善されたことから,更年期症状の改善に有用である.

収録刊行物

  • 女性心身医学

    女性心身医学 14 (1), 85-93, 2009

    一般社団法人 日本女性心身医学会

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