唾液腺癌の病理診断

書誌事項

タイトル別名
  • Pathological diagnosis of salivary gland cancer

抄録

唾液腺腫瘍は比較的まれで,全頭頸部腫瘍の約3%を占める。唾液腺腫瘍は耳下腺に好発し,全唾液腺腫瘍症例の約80%は同部位に発生する。そして,耳下腺腫瘍の約20%は悪性で,しかもその大多数は癌腫である。<br>唾液腺癌は,組織像が多彩な上,数多くの組織型や種々の亜型が存在しており,また,異なる組織型であっても部分的には類似した組織像がみられため,一般病理医にとって診断に難渋することが少なくない。さらに,唾液腺癌には生物学的態度の異なる腫瘍群が混在している。唾液腺癌の組織分類は複雑であるが,組織型の判定は予後の予測や治療方針の決定に直結する。依然としてHE染色が病理診断の基本となるが,免疫組織化学は診断精度の向上に役立ち,腫瘍細胞の性格や分化,細胞増殖能,および癌遺伝子の発現などの組織学的には測ることのできないものを検索することのできる有用な手段となる。最近,腫瘍特異的な染色体転座によって形成される融合遺伝子が粘表皮癌(CRTC1[MECT1]-MAML2),腺様嚢胞癌(MYB-NFIB),乳腺相似分泌癌(ETV6-NTRK3),および硝子化明細胞癌(EWSR1-ATF1)で同定された。これらの融合遺伝子は,唾液腺癌の診断,予後,および将来の治療面において意義を持つものと考えられる。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 39 (4), 397-401, 2013

    日本頭頸部癌学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (2)*注記

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680200372864
  • NII論文ID
    130004510185
  • DOI
    10.5981/jjhnc.39.397
  • ISSN
    18818382
    13495747
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • Crossref
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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