前頭葉の発達とその障害

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タイトル別名
  • Development of the frontal lobe function and its dysfunction
  • シンポジウム 前頭葉の発達とその障害
  • シンポジウム ゼントウ ヨウ ノ ハッタツ ト ソノ ショウガイ

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説明

【要旨】前頭葉、とくに前頭前野の社会生活における重要な役割が指摘されている。我々は、 発達途上の小児と、社会生活の困難さを示すことの多い発達障害児における前頭葉機能の評 価を行ってきた。 社会生活に重要な前頭葉機能は、行動抑制、作業記憶、実行機能である。行動抑制とは、 将来のより大きな報酬を得るために、目前の刺激に対する反応を抑制する能力である。我々 は、交感神経皮膚反応を用いて情動性自律反応による行動抑制への関与を検討した。さら に、強化学習課題遂行中の情動による意思決定に関わる発達的変化と、発達障害児の情動反 応低下がもたらす強化学習への影響を明らかにした。 作業記憶は、必要な情報を必要な間だけ保持し必要がなくなったら消去する機能であり、 その評価に衝動性眼球運動が有効とされる。我々は、衝動性眼球運動を用いて、作業記憶の 発達的変化と、干渉制御失敗と衝動性による発達障害児の作業記憶障害を明らかにした。 実行機能は、既に学習された知識・経験、新たに知覚された様々な情報を統合して、目標 に向けた思考や行動を組み立てて意思決定する能力である。我々は、前頭葉における実行機 能の左右差を評価する神経心理学検査を用いて、実行機能に関与する脳部位の時間・空間的 変化と、発達的変化、発達障害児における実行機能の障害を認知神経科学的に実証した。

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