機能的MRI(fMRI)のネットワーク解析

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  • キノウテキ MRI fMRI ノ ネットワーク カイセキ

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【要旨】脳の活動時は、各々の部位はネットワークを形成して活動していると考えられる。そのため、脳のネットワークを解析することが重要である。ネットワーク解断によく用いられる方法として、共分散構造分析(別名として構造方程式モデリングstructural equation modeling;SEM)がある。我々はこの方法と機能的MRI(fMRI)とを組み合わせて、大脳基底核運動回路と小脳-大脳運動回路の可視化を試みた。サルの研究より、大脳基底核運動回路と小脳-大脳運動回路は、自己ペース運動(SP)と外的ペース運動(EP)とで活性が異なると予想されるので、これらを課題とした。若年健常人12名(24-29歳、右利き)を対象に解析したところ、SPにて補足運動野-右被殻後部-淡蒼球-視床-1次感覚運動野に、EPでは左小脳前葉-歯状核-右視床-運動前野-1次感覚運動野に機能連関を認めた。以上より若年健常人において、SP運動では大脳基底核運動回路が、EPでは小脳-大脳運動回路が重要な役割を果たしていることが示唆された。老年者では、大脳基底核運動回路や小脳-大脳運動回路での機能連関が低下していたが、両側大脳皮質運動関連野間の機能連関は亢進していた。次に基底核疾患における変化を検討した。パーキンソン病患者12例を対象に解析したところSP、EPとも小脳-大脳運動回路での機能連関は亢進していた。最後に小脳疾患における変化を検討した。脊髄小脳変性症患者6名を対象に解析したところSP、EPとも基底核運動回路の機能連関の亢進を認めた。以上の機能的MRIおよびネットワーク解析を用いた運動発現の脳イメージングにより、自己ペース運動と外的ペース運動の脳内基盤の解明、加齢変化および疾患における運動回路の機能連関の解析が可能となった。

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