失行について
この論文をさがす
説明
【要旨】失行に関しては、枠概念としての「失行」、その枠概念を支える「各失行型」、さらにこれらの関係を論じる「失行論」の3つがある。この3つの関係は、時代の変遷とともに次第に変化し、その基礎となるLiepmannの考え方をも修正する必要が生じてきている。本稿では、失行型の1つである、単一道具使用時に見られる失行(使用失行)に焦点をあて、その理解に必要と考えられる事項を概説した。すなわち、古典的な失行型とされる3症状の概略と評価法、失行論の背景にあると考えられるアウトライン、古典的な失行以外の失行を紹介した。また物品(道具)を使用する際の動作を2つに区分し、症状分析のための新たな指標(着眼点)を提唱した。一つは手で物を直接扱う動作(二者関係動作)、もう一つは道具で物を扱う動作(三者関係動作)である。さらにこの指標を用いて、自験2例の行為・動作障害を分析した。今回検討した結果からは、使用失行は、三者関係動作を支える機構の選択的障害と捉えうる可能性が示唆された。
収録刊行物
-
- 認知神経科学
-
認知神経科学 10 (1), 77-87, 2008
認知神経科学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390282680202192128
-
- NII論文ID
- 130004387884
-
- ISSN
- 1884510X
- 13444298
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可