NIPT受検者の受検時と分娩後の心理的変化とNIPTの問題点についての検討

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  • Examination of the mental background factor of puerperium women who done prenatal testing and the points of NIPT

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説明

<p>【目的】出生前検査(PT:prenatal testing)が広く知られ妊婦に心理的変化を起こしていると推察される.NIPT(無侵襲的出生前検査法:Noninvasive prenatal genetic testing)受検時(N時)と,分娩後(検査1年後:D後)の心理変化を同一検者で検討し,分娩前後の心理社会的要因を検討するとともに,出生前検査の問題点や課題を抽出することを目的とした.</p><p>【対象】倫理員会で承認を得て2014年7月より9カ月間にPTの遺伝カウンセリング(GC)後NIPTを受検した妊婦468名に,2015年3月より分娩後の質問票を順次郵送した.返送のあった364名について両調査票の結果を連結し,PTに対する評価と心理的背景因子の変化を比較検討した.質問票は背景問診・心理社会的要因評価票・HADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)で,統計解析は対応のあるt検定・Wilcoxon検定を用いた.</p><p>【結果】分娩後の質問票回収率は77.8%であった.分娩後の調査では89.9%がNIPTに満足していた.また,73.1%は次回妊娠時もこの検査を受けると回答した.事前のGCで96%がNIPTをよく理解できたと回答し,かつGCが必要と答えた.心理社会的ストレス要因として,「自分・子供・夫・その他のこと」が挙げられ,すべての項目でD後増加傾向を示した.パートナー(夫)との関係について満足度はD後,有意に低下した(P<0.0001相関係数0.46).ストレスVASはN時46.8±21.2,D後42.4±26.8と有意に低下した(P<0.0102相関係数0.39).HADS-A, -DはN時・D後において有意な変化はなかった.</p><p>【考察】NIPTを受検した妊婦はこの検査に満足し,GCの必要性を感じていることから,受検希望者の意思決定をサポートできるGCの体制作りが重要であると考えられた.ストレス要因として授乳・体調変化・仕事復帰など「自分のこと」も要因として増えており,分娩後ストレス要因は増加傾向にあり,夫への満足度も低下していた.一方,ストレスVASは分娩後に低下し,PTは分娩後のストレスVASを低下させる要因になる可能性が示唆された.また,不安,うつ傾向のある妊婦は分娩後も同様の傾向を示すため,心理社会的要因にも着目した心身的サポートの必要性が示唆された.</p>

収録刊行物

  • 女性心身医学

    女性心身医学 22 (2), 163-169, 2017

    一般社団法人 日本女性心身医学会

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