ニセアカシアの休眠種子と非休眠種子の生産比率

書誌事項

タイトル別名
  • The Ratio of Dormant and Non-dormant Seeds in <i>Robinia pseudoacacia</i> L.
  • ニセアカシアの休眠種子と非休眠種子の生産比率 : 個体による違いと河川敷における分布状況
  • ニセアカシア ノ キュウミン シュシ ト ヒキュウミン シュシ ノ セイサン ヒリツ : コタイ ニ ヨル チガイ ト カセンシキ ニ オケル ブンプ ジョウキョウ
  • ―個体による違いと河川敷における分布状況―
  • Difference among Individual and Distribution in River Bank

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説明

ニセアカシアは種子異型性を示し,休眠種子と非休眠種子を生産する。本研究では,個体による両者の比率を河川に沿った分布位置および母樹サイズとの関係で調べた。非休眠種子の割合は個体間で大きく異なり,年度間で有意な正の相関があった。このことは,非休眠種子(休眠種子)を生産しやすい個体があることを示している。上流にある個体では非休眠種子の割合が低く,下流ほどその割合が高い個体が多く分布する傾向があった。母樹のサイズは下流から上流に向かうにつれて増加傾向になり,大きな個体ほど休眠種子を生産しやすい傾向がみられた。しかし,小サイズの個体には休眠種子を生産しやすい個体も含まれていたため,両者の生産比率を樹齢やサイズだけで説明できたわけではなかった。非休眠種子を生産することは,適地で直ちに発芽・定着して新規群落を成立させやすいため,攪乱が卓越する河川域での分布拡大に有利に働くと考えられる。一方,休眠種子は土壌シードバンクを形成し,既存群落が攪乱を受けたときの再生・修復に貢献すると考えられる。以上のことから,種子異型性はニセアカシアが河川敷で急速に分布を拡大した一因と考えられる。

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参考文献 (29)*注記

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