<I>Bursaphelenchus</I>属線虫の植物病原性と媒介者の生活史特性の関連

  • 神崎 菜摘
    独立行政法人森林総合研究所森林微生物研究領域
  • 竹本 周平
    独立行政法人森林総合研究所森林微生物研究領域

書誌事項

タイトル別名
  • Association between Plant Parasitism of <I>Bursaphelenchus</I> Nematodes and the Life History Traits of their Vector Insects
  • Bursaphelenchus属線虫の植物病原性と媒介者の生活史特性の関連
  • Bursaphelenchusゾク センチュウ ノ ショクブツ ビョウゲンセイ ト バイカイシャ ノ セイカツシ トクセイ ノ カンレン
  • Association between Plant Parasitism of Bursaphelenchus Nematodes and the Life History Traits of their Vector Insects

この論文をさがす

抄録

昆虫嗜好性線虫と媒介昆虫との生態的関係の進化に関して, 植物病原性の獲得という観点から考察した。マツノザイセンチュウ近縁種群 (Bursaphelenchus 属 xylophilus グループ) はヒゲナガカミキリ族のカミキリムシ類に便乗して移動分散を行う昆虫便乗性線虫であるが, グループ内では系統的に新しいと考えられるいくつかの種, マツノザイセンチュウ, ニセマツノザイセンチュウ, B. firmae が植物体, 主にマツ属植物に対して, 程度の違いはあるが病原力を有している。一方で, より起源の古いB. doui のように, これらとは非常に近縁でありながらも病原性がないと考えられる種も知られている。このような線虫に関して, 媒介昆虫の生活史特性を比較したところ, 植物病原性のある線虫種を媒介するものは, その生活史において, 樹木の健全な組織に接触する機会が多いということが明らかになった。また, マツノザイセンチュウ近縁種群以外のBursaphelenchus属線虫でも同様に, 植物病原性を持つ種は媒介昆虫により健全な組織に接する機会が多いことが示唆されている。これらのことから, このグループの線虫の病原性は, 健全な植物体に侵入し, そこで生存する能力に由来し, 媒介昆虫の生活史特性に依存して選択されると考えられた。

収録刊行物

参考文献 (30)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ