犯罪被害者の刑事裁判への参加と手続的公正の社会心理学 : 英米法圏での実証研究をふまえて(<サブ特集>法と心理学領域における公正概念の再検討)

書誌事項

タイトル別名
  • Victims' Participation in Criminal Trials and the Social Psychology of Procedural Justice(<Featured articles>Rethinking Concepts of Justice and Fairness Through a Transdisciplinary Perspective in the Fields of Law and Psychology)
  • 犯罪被害者の刑事裁判への参加と手続的公正の社会心理学--英米法圏での実証研究をふまえて
  • ハンザイ ヒガイシャ ノ ケイジ サイバン エ ノ サンカ ト テツズキテキ コウセイ ノ シャカイ シンリガク エイベイホウケン デ ノ ジッショウ ケンキュウ オ フマエテ

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抄録

意見陳述制度や被害者参加制度の導入により、犯罪被害者は、従前よりも刑事裁判に参加する機会が増えた。このような犯罪被害者の刑事裁判への参加については多くの議論が存在するところであるが、本稿では、犯罪被害者が刑事裁判に参加することが、犯罪被害者自身にとってどのような意義を有するのかという問題を取り上げる。この問題については、英米法圏の国々でVictim Impact Statement (VIS)を対象とした研究が一定程度存在する。本稿は、それらの研究をレビューし、それらの研究間に存在する研究目的の違いを指摘する。すなわち、かつてはVISによって被害者の満足度を向上させることができるかが検証課題であったが、徐々にVISを利用したことが被害者にとってどのような経験であったかを実証することに重点が移行しているのである。このことから、被害者の参加について議論をするためには、そもそもそのような制度にどのような機能を期待するのかをある程度明示することが必要であると指摘する。また、本稿では、これらの実証研究を手続的公正の社会心理学の観点から検討する。とりわけ、手続的公正の議論が、手続固有の性質から手続内の対人関係的要素に議論の重点を移していることの含意を指摘する。本稿は、あくまでレビュー研究に留まるが、今後の実証研究の必要性、重要な論点の指摘を行うことを目的としている。

収録刊行物

  • 法と心理

    法と心理 11 (1), 73-82, 2011

    法と心理学会

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