タンザニアにおける保健セクター援助協調の現状と課題

  • 杉下 智彦
    JICAタンザニア・モロゴロ州保健行政強化プロジェクト

書誌事項

タイトル別名
  • Sector Wide Approach (SWAp) in the Health Sector of the Government of Tanzania:The Present and the Future

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説明

タンザニアにおける開発援助協調については、被援助国の組織改革・強化を通じた主体性、持続性ある新しい援助形態が模索されてきた。特に2000年11月に貧困削減戦略書が世界で3番目に承認・実施されたことからもわかるように、アフリカの途上諸国において最も先鋭的な取り組みが行われており、構造改革を基盤とする組織改編、被援助国政府の指導力と主体性の向上、援助協力体制の構築、国家的優先課題の基づく実施計画、多様な援助様式の一元的標準化、さらには国家予算財政への一元的融資といった新しい援助形態が検討・実施されてきた。同時にタンザニア政府は、長期開発計画として「Tanzania Development Vision 2025」、中期開発計画としてタンザニア開発援助戦略書(Tanzania Assistance Strategy, TAS)および貧困削減戦略書(Poverty Reduction Strategy Paper, PRSP)を策定し、これらの国家開発計画を実効性のあるものとすべく、公共支出レビュー(Public Expenditure Review, PER)及び中期財政収出概算書(Medium-term Expenditure Framework, MTEF)を整備し、開発援助協調を可能にするシステムを構築してきた。保健セクターでは、1994年から推進されてきた保健セクター改革を実現可能にする財政基盤としてセクター・ワイド・アプローチによる援助協調が実施され、政府保健セクター予算会計システムへの共通財源融資によるバスケット・ファンドが導入・運用されている。これにより、地方自治体が主体となって長期的・持続的な地域保健活動を計画・実施することが可能となり、地方分権化とコミュニティ・レベルでの保健活動が可能となっている。<br>当論文では、タンザニアの保健セクターにおけるセクター・ワイド・アプローチとその財政基盤であるバスケット・ファンドについて、タンザニアにおける開発援助協調の背景、保健セクター改革の展開、セクター・ワイド・アプローチの適応、バスケット・ファンドの運用を概観し、開発援助協調が抱える諸問題と展望について考察を加えたい。

収録刊行物

  • 国際保健医療

    国際保健医療 21 (2), 111-121, 2006

    日本国際保健医療学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680212074112
  • NII論文ID
    130004942142
  • DOI
    10.11197/jaih.21.111
  • ISSN
    24367559
    09176543
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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