卵・乳製品の摂取と血中脂質の変化

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タイトル別名
  • Changes in Serum Lipids Relating to the Ingestion of Eggs and Milk
  • タマゴ ニュウセイヒン ノ セッシュ ト ケッチュウ シシツ ノ ヘンカ

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説明

目的:著者は高コレステロール血症の受診者で,卵・乳製品(主に鶏卵,牛乳,ヨーグルト)を食する人がその摂取を止めると血中総コレステロールが減少すると報告している.今回は人間ドックの受診者で卵・乳製品の摂取状況と総コレステロール(TC),中性脂肪(TG),HDLコレステロール(HDL-C),LDLコレステロール(LDLC)の変化を検討した.対象と方法:産業医をしている企業の従業員を中心に,受診の2カ月前に卵・乳製品の摂取状況の調査用紙を配り,受診当日に回収した.調査はコレステロール降下剤の服用の有無,卵・乳製品を日常食べている(A集団),食べるのを止めている(B集団)とその期間,もともと食べない(C集団)の記入を求めた.調査できた延べ418人(男258人,女160人,平均年齢51歳)を対象とした.A集団282人,B集団56人,C集団80人について,調査前年のTC値より,a群280mg/dl以上,b群280mg/dl-250mg/dl,c群250mg/dl-220mg/dl,d群220mg/dl未満に分けて血中脂質の変化を,調査前年と調査年で比較した.成績:血中脂質問ではTC(×)とLDL-C(y)はy=0.76×-32の直線的相関(r=0.72)を,TG(×)とHDLC(y)はy=160×-0.2の指数関数的相関(r=0.20)を示した.TC(平均)は,A集団ではa群,b群,c群d群の順に292mg/dlから287mg/dlに,261mg/dlから258mg/dlに,233mg/dlから241mg/dlに,190mg/dlから204mg/dlに変化し,c群,d群で有意に増加した.HDL-Cのc群とLDL-Cのc群,d群で有意の増加をみた.B集団では316mg/dlから255mg/dlに,265mg/dlから233mg/dlに,237mg/dlから215mg/dlに,179mg/dlから160mg/dlに変化し,a群,b群,c群で有意に減少した.LDL-Cも同じく有意に減少した.C集団では全てで有意の増減はなかった.結語:高コレステロール血症(TC≧220mg/dl)では卵・乳製品の摂取を止めるとTCとLDL-Cは有意に減少し,TCが高いほどその巾は大きかった.TGとHDL-Cの関係からHDL-Cの増加にはTG減少が必要であると示唆された.

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参考文献 (15)*注記

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