岡山県矢掛町における高齢者の移動手段と県内バス会社のノンステップバス導入状況

  • 徳森 公彦
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科国際環境科学講座公衆衛生学分野:広島国際大学保健医療学部理学療法学科
  • 汪 達紘
    岡山大学大学院医歯薬学総合研究科国際環境科学講座公衆衛生学分野

書誌事項

タイトル別名
  • A survey concerning ordinary traffic means of elderly living in Yakage Town and the introduction of non-step bus by bus companies in Okayama prefecture
  • オカヤマケン ヤカゲチョウ ニ オケル コウレイシャ ノ イドウ シュダン ト ケンナイ バス ガイシャ ノ ノンステップバス ドウニュウ ジョウキョウ

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抄録

都市部でのノンステップバス(以下NSB)の普及割合に比べ、過疎地域でNSBを目にする機会は少ないように感じている。そこで、地域在住高齢者の日常生活における移動手段を把握するとともに、県内のバス会社のNSB導入状況を明らかにしたうえで、NSBの普及割合が適当であるかを検討することを目的に岡山県矢掛町において、高齢者の日常の移動手段に関するアンケートおよび県内のバス会社に対してNSBに関するアンケートを実施した。地域高齢者に対するアンケートは、105名より回答を得た(回答率99.1%)。また、バス会社に対するアンケートは9社を対象に全社より回答を得た。結果は町内・外への主な移動手段としてバスを利用している人は町内移動で2%、町外移動で12%であった。バスを利用しない理由として「乗降が問題」と答えた人は7%であったが、日常の移動形態が杖または歩行器レベルの人では「乗降」が主な問題となっていた(p<0.01)。一方バス会社のNSB導入割合は0%〜13.44%(平均8.4%)であり、導入に際しての問題点として道路事情やNSBの構造を反映した問題、導入コストの問題を挙げる回答が多かった。またバスの総保有台数とNSB導入割合および営業エリアの人口とNSB導入割合の間に正の相関が見られた(p<0.05)。つまり地域高齢者の移動手段として、路線バスは主な交通手段とはなりえていないが、歩行能力に低下の見られる人たちにとっては「乗降」が大きな問題となっており、利用したくてもできない状況にあることが推察された。また、郊外において営業を行うバス会社は比較的小規模な会社が多く、NSBの導入コストおよび構造的な問題により導入割合が低くなっていることが示唆された。

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