On the Male of Lethe kinabalensis OKUBO (Lepidoptera: Satyridae)

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  • On the male of Lethe kinabalensis OKUBO

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抄録

Lethe kinabalensis OKUBO,1979は1977年8月東マレイシア(ボルネオ島のマレイシア),サバー州,キナバル山にて採集された2♀に基づいて新種として記載された.同種はきわめてまれなようで原記載以来現在にいたるまで雌は得られているというが雄は未知であった.著者の一人,大塚は1981年8月,サバー州に採集旅行の際キナバル地域にて未知のLethe属の雄1頭を採集した.著者らのその後の調査により同雄はL.kinabalensisの未知の雄であることが判明したのでここに記載し,その表裏の翅斑を対比できるよう同種の完模式標本(♀)とともに図示した(Figs.1-4).この雄の翅斑の構成,配列,とくに前後翅の眼状紋の数と並び方は完全にkinabalensisの完模式標本の雌と一致する.ただ雌雄による翅形の差と各斑紋の明瞭度,大きさ,色彩の差だけが認められ,この雌雄が同種であることに疑いはない.なお雄の色彩は著しくことなるがスンダランドの山地に分布するLethe darenaはkinabalensisとほとんど同じ眼状紋の配列を示し,もっとも近縁と考えられるが,kinabalensisの雌雄の前翅の斜帯(雄では裏面にのみ認められる)は第4脈で完全にずれる(darenaでは完全につながる).さらにボルネオから同属Letheに属する同島特産の稀種3種,すなわちLethe delia, L. doraおよびL.perimede(著者はいずれもSTAUDINGER)が知られているが,3種ともその眼状紋の数,位置と配列が本種雌雄と全くことなり,この雄がこれらと同種である可能性はない.終りにあたってL.kinabalensisに関する最近の情報と同種の完模式標本の写真を提供して下さった大久保潔氏に感謝の意を表したい.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 32 (3-4), 182-184, 1982

    日本鱗翅学会

被引用文献 (1)*注記

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