The Hypolimnas octocula Complex, with Notes on H. inopinata (Lepidoptera, Nymphalidae)

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タイトル別名
  • The Hypolimnas octo

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抄録

南太平洋島興に産するタテハチョウ科のHypolimnas octocula(日本名ヤホシムラサキ)群は,標本の数が少ないためもあって従来その亜種の分類が混乱していたので筆者はそれらの分類と分布に再検討を加えた.その結果,octocula群を種octoculaとarakalulkに二分した,さらにoctoculaの3新亜種(samoa,futunaensis,tanna)を記載・図示するとともに,lifuanaをo.elsinaの地方型とし,formosaとpallasをそれぞれo.octoculaとo.perryiのシノニムとした.arakalulkは西カロリン,南マリアナ諸島産のものであるが,今回これを種に昇格させるとともに,グアム,サイパン産を亜種marianensisとした.これらの種・亜種とともに,参考のため,octocula群に近縁の種errabunda(西サモア)と種exiguus(サンクリストバル島に産し,octoculaとニューギニア産の種deoisとに共通する斑紋特徴をもつ)および一般に余りよく知られていない稀種inopinata(フィジーの高地に分布し,リュウキュウムラサキに近縁のもの)を図示した.なお,o.octoculaの生活史をはじめとする野外観察記録を写真とともに紹介した.o.octoculaの♂は森林地帯に多く,岸辺や草地には稀,リュウキュウムラサキやイワサキコノハ等とともに占有行動をとる.♀は目立たず,湿地・花等にも集らず,日当りのよい所にある繁みに潜って食草(イラクサ科を主とし,スベリヒユ科,トウダイグサ科等も利用される)の葉裏に卵塊を作る.幼虫は亜終齢まで群棲する.飼育した老熟幼虫は体長約50mm,蛹は体長約25mm(♂が羽化)

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 37 (1), 15-43, 1986

    日本鱗翅学会

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