ヒトスジスカシバ(スカシバガ科)の幼虫と蛹の記載

  • 有田 豊
    Zoological Laboratory, Faculty of Agriculture, Meijo University
  • 新美 伸治
    Zoological Laboratory, Faculty of Agriculture, Meijo University
  • 中野 裕道
    Zoological Laboratory, Faculty of Agriculture, Meijo University

書誌事項

タイトル別名
  • Descriptions of the larva and pupa of a clearwing moth Synanthedon multitarsus Spatenka & Arita (Sesiidae)

この論文をさがす

説明

著者らは本州でヤナギ類を加害するSynanthedon属のスカシバガを探索していた所,著者の一人新美は愛知県足助町の矢作川ぞいの川原でネコヤナギ(Sarix gracilistyla Miquel)の幹を加害し,樹皮より鋸屑状の糞をだしているスカシバガの幼虫を発見した.また中野は同じ所でカワラハンノキ(Alnus serrulatoides Callier)の幹から同様に糞をだしているスカシバガの幼虫を見つけた.それらを飼育して成虫を羽化させた所,それらはいずれも同じ種類でヒトスジスカシバSynanthedon multitarsus Spatenka & Aritaであった.卵はネコヤナギやカワラハンノキの幹の裂け目,他の昆虫(コウモリガ類やカミキリムシ類)によって食害された所や切り株の切り口の樹皮に一卵ずつ7-8月に産み付けられる.幼虫はそれらの木の幹や枝の樹皮下に小さい部屋を作るがまれに幹の内部にまで食害することがある.そして終齢幼虫で越冬する.冬を越した幼虫はその幼虫の部屋で小さい木屑を糸でつづって繭を作り頭を上にして蛹化する.蛹期間は12〜16日間であった.羽化時には非常に薄い皮にした樹皮の脱出孔より腹部の第6節位までを突出させて羽化する.幼虫は14.3-16.8mmと小さく,胸部第一節背楯に細長い褐色の斑紋があり,肛上板は黄褐色である.蛹は8.4-11.0mmと小さくやや細い.額突起はよく発達し,側面から見ると鋭く突出し,背面から見ると中央で凹んでいる.尾突起は背面に1対,側面に2対,腹面に2対(内1対は非常に小さい)ある.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 43 (4), 239-244, 1993

    日本鱗翅学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680242362496
  • NII論文ID
    110007707933
  • DOI
    10.18984/lepid.43.4_239
  • ISSN
    18808077
    00240974
  • 本文言語コード
    en
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ