Olona属(イラガ科)の1新種と幼生期に関する知見

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タイトル別名
  • A new species of the genus Olona Snellen (Lepidoptera: Limacodidae) with notes on immature stages

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抄録

Olona属(イラガ科)は東南アジアに分布する小型のガ類で,これまでにジャワから1種O.albistrigella Snellen,1900(=Trichogyia dilutata Hering,1938)とマレー半島・スマトラからO.Gateri(West,1937)の2種が知られていたが,得られた標本数が少なく,幼生期の研究も不十分であった.今回ベトナムと中国(香港)から1新種を見いだしたのでO.zolotuhini sp. n.として記載し,幼生期の形態についても報告した.Olona zolotuhini sp. n.は,♂交尾器ではsacculusに長く(sacculusの2/3-3/5程度)ほぼまっすぐの突起をもつことなど,♀交尾器ではcorpus bursaeにsignumをもつことにより他の2種と区別できる.Olona属はPhrixolepia属やTrichogyia属に近縁であると考えられる.Olona属とPhrixolepia属の幼虫にみられる有刺隆起(scoli)はダルセライラガ科Dalceridaeの幼虫にみられる隆起と同様にゼラチン状で体表から分離することから,両者は相同でありEpstein(1996)などによって示された「イラガ科+ダルセライラガ科」の単系統性を支持するかもしれない.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 63 (2), 70-78, 2012

    日本鱗翅学会

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