Mesapia peloriaのタイプ産地と分布

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タイトル別名
  • Type locality and distribution of Mesapia peloria (Hewitson, 1853) (Lepidoptera, Pieridae)

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説明

Mesapia peloriaは中国西部及びヒマラヤ山脈一帯の高山地帯に分布する1属1種の小型のシロチョウである.Tadokoro et al.(2014)は,M. peloriaの分類を再評価し,3つの地方型亜種の斑紋を紹介して仮の分布図を作製した.3亜種とは,四川省産のssp. peloria,青海省産のssp. lama及び新亜種で中央ネパール産のssp. epsteinaである.Tadokoro et al.(2014)はその際ssp. peloriaのタイプ産地であるMts of Chinese Tartaryがこれまで歴史的に考えられてきたように祁連山脈を指すのではなく寧ろチベット山脈を指すのではないかと推測したが,その地域の標本が不十分であったために判断を保留した.最近我々は中央チベットから東チベットにかけた6ヶ所の地域で採集された個体群の標本を入手することができたので,それらを現在適格名とされている4亜種と比較することで亜種同定するとともにタイプ産地であるMts of Chinese Tartaryの地域を特定して分布図のアップデイトを試みた.その結果,ssp. peloriaのタイプ産地はやはり祁連山脈ではなくチベット山脈であることが示唆された.とりわけ中央チベットのTa-La産の個体群はタイプ標本に極めて近い斑紋を持つ.分布図はFig. 11のように補正された.また,現時点でのシノニムリストを纏めた.なお,Tadokoro et al.(2014)では中央ネパール産亜種の記載の際に国際動物命名規約ではssp. epsteiniとすべきところを誤ってssp. epsteinaと命名してしまった事に関し,この場を借りて故Epstein博士とご家族の方々にお詫び申し上げる.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 66 (1), 19-25, 2015

    日本鱗翅学会

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