テキサスにおけるHemileuca属(ヤママユガ科)4種の生物学 : 特に捕食寄生者について

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  • Biology of four species of Hemileuca (Saturniidae) in Texas with special reference to their parasitoids

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抄録

Hemileuca属はカナダからメキシコ南部にかけて35種が含まれる昼行性のヤママユガ科の1属で,分布が局地的であるものが多い.本属には,2年1化のもの,春季に羽化するものなどが含まれるが,本論文で扱ったHemileuca属の4種は,いずれも卵で越冬,幼虫は早春に孵化,晩春に成熟後,夏に蛹で休眠して,成虫が10月から12月に羽化するという生活史をもつ.本論文では,米国テキサス州において,Hemileuca属4種の幼虫を採集し,その捕食寄生者,分布,寄主植物などを調査した.今回得られた捕食寄生者や分布のデータは,本属の種の保全を考える上で重要である.H. chinatiensis:テキサス西部からニューメキシコ北部に分布する.2013年3月に,テキサス西部でクロウメモドキ科のCondalia ericoidesから少数の幼虫を採集した. H. grotei:テキサス中央部の固有種.2012-2014年の4月に,テキサス中央部でブナ科のQuercus fusiformisから幼虫を採集し,ヤドリバエ科のExorista mella, Chetogena spp., Belvosia bifasciataの羽化を確認した(いずれも寄主として新記録). H. peigleri:テキサス中央部の固有種.2013年と2014年の5月に,ブナ科のQuercus fusiformisからテキサスの4つの郡(county)で幼虫を採集した.ConchoとMcCullochの2郡で初めての記録となる.本種の蛹からヤドリバエ科のLeschenaultia fulvipesの羽化を確認した(寄主として新記録). H. slosseri:テキサス北部と近隣のオクラホマ,ニューメキシコに分布する.2014年5月に,テキサス北部でブナ科のQuercus havardiiから幼虫を採集した. また,Cotesia属の一種(コマユバチ科)がH. slosseri, H. peigleri, H. groteiの幼虫から羽化するのを確認した.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 66 (1), 1-7, 2015

    日本鱗翅学会

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