ミャンマーとベトナムからSaliocleta属2新種の記載

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タイトル別名
  • New species of the genus Saliocleta (Lepidoptera, Notodontidae) from Myanmar and Vietnam

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説明

ミャンマーからSaliocleata yazakii sp.nov.,ベトナムからSaliocleta languida sp.nov.を記載し,スマトラから記載されたCeira armata Kiriakoff,1974をSaliocletaへ移してSaliocleta armata(Kiriakoff,1974),comb.nov.とした.2新種はダージリンから記載されたCeira postica Moore,1879と同属である.Kiriakoff(1968)はCeira posticaを属Biraiaへ入れている.しかし,ここに示されたgenitaliaは実際にはCeira junctura Moore,1879であった(Nakamura,1974).Schintlmeister&Fang(2001)はCeira posticaのholotypeを写真表示してこれをSaliocletaへ属するとしている.また,Wu&Fang(2003)に示されている雲南のS.posticaのgenitaliaは,新記載の2種及びCeira armata Kiriakoff,1974のgenitaliaと基本構造が同じで,これを見ると4種は明らかに同属である.これらはSaliocletaのtype speciesのSaliocleta nonagrioides Walker,1862と外見は違うが,確かにgenitaliaは遠くはない.故にここではこの4種の属をSaliocletaとし,Ceira armata Kiriakoff,1974をSaliocletaへ移す.これら4種はいずれも翅形,色彩,斑紋は似ている.Genitaliaではvalva遠位端,fultura inferior,aedeagus尾端の形の違いでこれら4種ははっきり分かれる.S.languidaでは後翅の色が橙色で,また前翅翅頂から基部へ走る茶色の線が中室から基部までは淡く弱いのが特徴的である.S.yazakiiでは亜外縁線は小さく淡い茶色の点で構成されているが,S.posticaでは黒いはっきりした点が認められる.また,S.languidaとS.yazakiiでは第8腹板,第8背板の違いが明らかである.S.armataの原記載地はスマトラであるが,Hollowayはボルネオからの標本を提示している.これは,外見,genitaliaともスマトラのものと若干の違いがあり,また新記載の2種とも違う.原産地スマトラのものは後翅も薄い黄色で,S.posticaやS.yazakiiに似ている.ボルネオのものは後翅がS.languidaのごとく橙色であるが,斜線が翅頂から基部まではっきりしている点で区別できる.

収録刊行物

  • 蝶と蛾

    蝶と蛾 55 (2), 83-87, 2004

    日本鱗翅学会

参考文献 (11)*注記

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