慢性肝炎から肝細胞がんの撲滅に向けて

  • 森山 光彦
    日本大学医学部 内科学系消化器肝臓内科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Eradication of the development of HCC in patients with chronic hepatitis C and liver cirrhosis
  • 第50回総会 会長講演 慢性肝炎から肝細胞がんの撲滅に向けて
  • ダイ50カイ ソウカイ カイチョウ コウエン マンセイ カンエン カラ カン サイボウ ガン ノ ボクメツ ニ ムケテ

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抄録

日本消化器がん検診学会は, 本年にて創立50周年を迎える。本稿は, 第50回総会にて行った会長講演より日本における肝がんの予知・予防の現状について述べる。まず肝がんの高危険度群の囲い込みについて述べる。多変量解析を用いて, 肝がん発生の高危険度群の囲い込みを行ったところ, C型慢性肝炎・肝硬変からの肝がん発生の高危険度群としては, 血小板数15万以下, ALT値が80IU/L以上, 高齢者, 男性が挙げられた。<BR>次に予防について述べる。C型肝炎からの肝がん発生の1.5次予防としてインターフェロン(IFN)治療が挙げられる。我々の施設ではIFN治療例をprospectiveに経過を観察している。これらの症例について長期予後として, 累積肝がん発生率を検討した。この結果では, IFN治療例が非治療例に比較して累積発がん率は有意に低値であった。さらにALT値の推移別に比較すると, ALT値が80IU/L以上にて推移している例が累積発がん率が有意に高値であった。またF3+F4stageの症例であっても, 非治療例に比較してIFN治療は発がんを抑止していることが示唆された。以上をまとめると, IFN治療は肝がん発生を抑止して, その長期予後を改善した。

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参考文献 (13)*注記

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