哺乳類と鳥類は別々に2心房2心室を進化させた:バネ分子コネクチンによる検討

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Mammals and birds have independently evolved the 4-chambered hearts: : Analysis of connectin which works as molecular spring in striated muscle

抄録

<p>心臓機能は生物の活動性に直結する。エネルギー消費の大きな哺乳類と鳥類は2心房2心室の心臓を共有し、体循環と肺循環を分離することで大量の酸素消費を可能にして恒温性などの特筆すべき性質を獲得している。しかし、軟組織である心臓は化石として保存されず、肺のように骨格からの推定も出来ないため、心臓進化についての知見は殆どない。現生脊椎動物の心筋組織は二種類に大別される。一つは血管が無く心室腔から直接酸素を受け取るスポンジ状心筋である。他方は心房・心室の形態と同様に哺乳類・鳥類に共通する緻密心筋であり、冠循環と呼ばれる血管ネットワークにより酸素を供給され、血液が心臓自身の緩む拡張期にのみ流れるという特徴を持つ。我々は冠循環心臓の拡張期における過度な心室伸展は血流障害を来すため、無冠循環心臓と比較して伸びにくいという仮説を検証した。冠循環を持つマウス・ニワトリの心臓は冠循環の無いカエルに比較して伸展しにくかった。心筋細胞の伸展性を規定するバネ分子コネクチンの弾性領域アミノ酸配列を検討したところ、マウス・ニワトリではカエルよりも著明に短縮していた。これは冠循環登場による心筋細胞の伸展抑制という新たな制約への適応であると考えた。また、遺伝子配列の検討により、哺乳類と鳥類は異なる機構でコネクチン分子を伸びにくくしており、環境に適応しながら心臓をそれぞれ独立に2心房2心室の形に収斂進化させたと考えた。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 55Annual (5AM-Abstract), 443-443, 2017

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680246897280
  • NII論文ID
    130006077174
  • DOI
    10.11239/jsmbe.55annual.443
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ