腹部超音波検査時の体位変換は検者の身体負荷を小さくするか—第2報—

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  • Does the Changing Position at Abdominal Ultrasonography Reduce the Physical Load of the Ultrasonographer?—second report—

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説明

<p>はじめに:超音波検査時の検者への身体負荷は大きく,筋骨格系障害を訴える検者が多い.前報では静的な筋負担を計測することで,体位変換が腹部超音波検査時の身体負荷軽減に効果がある可能性を示した.今回は動的な筋負担を測定し,より実際の検査に近い身体負荷について検討した.</p><p>対象と方法:対象は,20代の学生8名とした.方法は,指定したプロトコルで被検者の体位(仰臥位,側臥位,斜位)を変えて代表的な3種類の模擬腹部超音波走査をしてもらい,その時の筋電図測定による客観的な筋負担評価と主観的な疲労感の評価を行った.筋電図の測定筋は,肩部,上腕部,前腕部,腰部の計8筋とした.疲労感の評価は肩,腰,前腕について測定した.</p><p>結果:①右肋弓下走査:筋負担は上腕二頭筋において,左側臥位より仰臥位(p: 0.031)および左斜位(p: 0.023)で小さかった.疲労感は,肩が左側臥位より仰臥位(p: 0.049)および左斜位(p: 0.017)で小さかった.②右側腹部走査:筋負担は右僧帽筋において,仰臥位より左側臥位(p: 0.034)および左斜位(p: 0.017)で小さく,橈側手根屈筋において仰臥位よりも左斜位(p: 0.037)で小さかった.疲労感は腰において左側臥位より左斜位(p: 0.011)で小さく,肩では仰臥位より左斜位(p: 0.017)で小さかった.③左側腹部走査:筋負担は右僧帽筋において,仰臥位よりも左側臥位(p: 0.019)で小さかった.上腕三頭筋の筋負担が,左側臥位で最も大きく,仰臥位で最も小さかった(仰臥位vs右側臥位p<0.001,仰臥位vs右斜位p: 0.048,右側臥位vs右斜位p: 0.009).</p><p>結語:同じ走査でも被検者の体位により検者の筋負担は異なるので,検者は描出能が同じなら被検者の体位変換を行い,身体負荷が小さい走査方法を選ぶべきと考えられる.</p>

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 41 (6), 651-658, 2016

    一般社団法人 日本超音波検査学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680256228224
  • NII論文ID
    130005331213
  • DOI
    10.11272/jss.41.651
  • ISSN
    18814514
    18814506
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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