肺年齢による末梢気道障害の予測

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タイトル別名
  • The prediction of small airway dysfunction using “lung age”
  • ハイ ネンレイ ニ ヨル マッショウ キドウ ショウガイ ノ ヨソク

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抄録

肺年齢は,スパイロメトリ結果を一般の方に理解しやすくさせる方法として作られ,禁煙の動機づけとなるように使用されることも期待されている.しかし,換気機能正常者においても,肺年齢はしばしば実年齢より高値を示し,一般健康管理上,肺年齢の運用の仕方について十分情報があるわけではないのが実状である.本研究では,男女別に,換気障害を正常換気機能と鑑別するために臨床上役に立つ肺年齢指標を確立するとともに,肺年齢が末梢気道障害リスクを増加させる予測因子となるかどうかについて検討した.対象は577名(18~85歳,男/女:362/215).スパイロメトリ検査を行い,日本呼吸器学会で定めた肺年齢式より肺年齢を算出した.換気障害を予測するための⊿値(肺年齢と実年齢の差)をROC解析により求めた.続いて,末梢気道障害のリスク因子について,多変量解析を用いて検討した.換気障害を鑑別するROCAUCは,男性0.866,女性0.938であった.感度および特異度の総和が最も大きくなる⊿値のカットオフ値は,男性:+20,女性:+16であった.多変量解析で,⊿値は,末梢気道障害を予測する有意な独立因子であった.そのオッズ比は男性1.03(p<0.001),女性1.06(p<0.001)であった.以上より,換気障害を鑑別する肺年齢は,男性:[実年齢]+20歳,女性:[実年齢]+16歳であった.また,⊿値は,末梢気道障害リスク増加を予測する因子であることが示された.

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