心エコーにおけるプローブを走査する手の違いが検者の身体負担に与える影響

  • 森 貴子
    東京逓信病院臨床検査科
  • 丸山 勝
    東京逓信病院臨床検査科
  • 三枝 義信
    東京逓信病院臨床検査科
  • 小田 福美
    東京逓信病院臨床検査科
  • 中林 智保子
    東京逓信病院臨床検査科
  • 小林 照明
    東京逓信病院臨床検査科
  • 久次米 公誠
    東京逓信病院臨床検査科
  • 橋本 直明
    東京逓信病院臨床検査科
  • 野曽原 由香
    株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット診断システム事業部マーケティング本部戦略マーケティング部デザイングループ
  • 鈴木 浩之
    株式会社日立製作所ヘルスケアビジネスユニット診断システム事業部マーケティング本部戦略マーケティング部デザイングループ
  • 下村 義弘
    千葉大学大学院工学研究科人間生活工学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Scanning the Probe with Right or Left Hand on Operator’s Physical Load During Cardiac Ultrasonography

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説明

<p>はじめに:心エコーはプローブ走査を右手で行う方法と左手で行う方法があるが,これらの走査姿勢による検者の身体負担の差異は明らかではない.今回我々は,表面筋電図と主観評価を用いて右手走査,左手走査の身体負担を評価し,比較を行った.</p><p>対象:20歳代の右利きの大学生8名とした.</p><p>方法:心エコーの模擬走査(傍胸骨走査および心尖部走査)を左右の手で行い,上肢および体幹の計8筋の表面筋電図で筋負担を,主観評価スケール法で模擬走査中の肩,腕,手関節,腰の疲労感を評価した.また,対象者の身長と筋負担との相関を検討した.</p><p>結果:筋負担は,右手走査では上腕二頭筋,心尖部走査の尺側手根伸筋,尺側手根屈筋,傍胸骨走査の左脊柱起立筋で大きく,左手走査では傍胸骨走査の三角筋,尺側手根伸筋で大きかった.疲労感は,右手走査では傍胸骨・心尖部走査ともに腰部で強く,左手走査では傍胸骨走査の手関節で強かった.右手走査では傍胸骨走査,心尖部走査いずれも尺側手根伸筋の筋負担と身長に強い負の相関を認め,左手走査では傍胸骨走査長軸像において,浅指屈筋,尺側手根屈筋,左右脊柱起立筋の筋負担と身長に強い正の相関を,心尖部走査において,尺側手根屈筋と身長に強い負の相関を認めた.</p><p>考察:対象者の走査姿勢と体格により負担の大きい筋が異なることが明らかとなった.特定の筋に対する疲労の蓄積を防ぎ,検者の将来的な筋骨格系障害のリスクを低減させるためには,必要に応じて右手走査,左手走査を選択する事がひとつの手段であると考えられる.</p>

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 42 (3), 263-270, 2017

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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