腹部超音波検査時の体位変換は検者の身体負荷を小さくするか?

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  • Does the Changing Position at Abdominal Ultrasonography Reduce the Physical Load of the Ultrasonographer?

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抄録

はじめに:超音波検査時の検者への身体的負荷は意外に大きく,筋骨格系障害の症状を訴える検者も多い.今回我々は検者にかかる身体負荷を,被検者の体位ごとに筋電図を用いて測定し比較検討した.<br>対象と方法:対象は右利きの検者10名.測定した部位は,右橈側手根伸筋,左右の僧帽筋(各,上部および下部),左広背筋の計6筋群である.“仰臥位”と“左側臥位”での右肋骨弓下走査と右側腹部縦走査,“仰臥位”と“右側臥位”左側腹部走査の各動作での筋電図を記録した.同一被検者に走査を各々3回行い,各走査で安定した2秒間の筋電図を取得し,筋電量を求め,“仰臥位”と体位変換後の“側臥位”での筋電量の差を検討した.<br>結果:“仰臥位”に比べて体位変換後の“側臥位”で筋電量が有意(p<0.05, Mann–Whitney検定)に低下したのは,①右肋骨弓下走査の右橈側手根伸筋,②右側腹部縦走査の右橈側手根伸筋,③左側腹部走査の右僧帽筋(下部)と左僧帽筋(上部および下部)と左広背筋であった.<br>考察:筋電量が多いほど身体負荷が大きいとすれば,同じ部位を検査する場合でも被検者の体位によって検者の身体負荷に差があることになる.今回の検討で“側臥位”での負荷が軽減する理由には,検者の体勢や手首の屈曲などの差だけではなく,被検者の臓器の移動による描出のしやすさも関与していると考える.検査時に被検者の体位変換を工夫することで,検者の身体負荷を小さくできる可能性がある.

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 40 (4), 424-428, 2015

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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