東アジアにおける産業集積の格差―タイとインドネシアの自動車産業を中心として―

書誌事項

タイトル別名
  • A Difference of Industrial Accumulation in Eat Asia
  • タイとインドネシアの自動車産業を中心として

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説明

タイとインドネシアの自動車市場 (生産及び販売台数) は、日系自動車メーカーが大半を占めているが、1990年前後に、タイがインドネシアを逆転して、以後タイがインドネシアを大きく引き離していく。その理由は、まずそれぞれの国内市場の伸びの違いである。タイ経済は、プラザ合意のうねりを受けて、1987年から高度経済成長を開始し、翌年から3年間2桁以上の成長を続ける。国内販売台数は1990年には30万台 (1995年には50万台) を突破する。インドネシア経済は、タイより少し遅れて、1989年から高度成長の波に乗り始めるが、1990年の27万台をピークに伸び悩む。両国にとっては、国内市場とは別に、BBC (アセアン域内の自動車部品相互補完協定) のメンバーとしても、比較された。タイのほうが、国産化政策でもインドネシアより先行し、現地部品メーカーも育ってきていた。加えて、両国の政権の安定性、政策の一貫性、為替の安定性、政策立案能力と実施能力など、総合的にみて、タイのほうがインドネシアを上回っていた。こうした様々な点から総合的にみて、1988年前後から、日系自動車メーカーは、タイの生産能力を一気に拡張し (全体としては50万台規模の構想)、インドネシアを大きく引き離すこととなった。こうした事例は、企業が海外進出先を選定する際に、多くの示唆を与えている。

収録刊行物

  • 生産管理

    生産管理 13 (2), 117-122, 2007

    一般社団法人 日本生産管理学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282680260635776
  • NII論文ID
    130004376354
  • DOI
    10.14846/seisankanri1995.13.2_117
  • ISSN
    21866120
    1341528X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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