「風を切る歩行」の検証

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  • カゼ オ キル ホコウ ノ ケンショウ

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抄録

盲導犬使用者の多くが、盲導犬と歩行すると「風を切るようだ」と表現する。しかし、実際に盲導犬との歩行が風を切るように速いかどうかは、使用者の主観的な報告のみである。そこで本研究では、自然な歩行が出来ているかを知るための指標として使われている歩行比を用いて、盲導犬と白杖での歩行を比較した。歩行比とは歩幅÷歩行率( 1 分間の歩数)のことである。条件1(障害物がない道での歩行)における被験者9 名全員の歩行比の平均は、盲導犬より白杖の方が0 . 0060 m /(歩数/ 分)に近いが、著しい差が認められた者はいなかった。また、条件2(障害物がある道での歩行)における歩行比は、被験者2名ともに白杖より盲導犬の方が0 . 0060 m /(歩数/ 分)に近く、3 回の計測で盲導犬では歩数や所要時間に大きな差は出なかった。これより、「風を切る歩行」の要素のひとつは、障害物回避であることが示唆された。

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