肘窩における静脈穿刺部位の皮静脈と動脈との局所解剖学

  • 三國 裕子
    弘前大学大学院 保健学研究科 医療生命科学領域 病態解析科学分野
  • 一戸 とも子
    弘前大学大学院 保健学研究科 健康支援科学領域 健康増進科学分野
  • 千葉 正司
    弘前大学大学院 保健学研究科 医療生命科学領域 病態解析科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Topographic anatomy of superficial veins and brachial arteries in cubital fossa for safe venous puncture site

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説明

安全な静脈穿刺部位を選定するために、解剖実習体66体132側における皮静脈と動脈などの位置的関係および破格動脈の走行について調査した。浅上腕動脈は27例(21%)に出現し、これらはAdachi(1928)のIII型、V型、VIII型、XVI型に分類された。浅前腕動脈は2例(2%)に出現し、尺側浅前腕動脈が1例(1%)、正中浅前腕動脈が1例(1%)であった。浅上腕動脈は尺側皮静脈と肘正中皮静脈との合流部の深層で、肘正中皮静脈の尺側の深層を走行した。尺側浅前腕動脈は、肘正中皮静脈の尺側で前腕正中皮静脈の深層を、正中浅前腕動脈は尺側正中皮静脈と前腕正中皮静脈の深層を走行した。浅上腕動脈および浅前腕動脈の走行と出現頻度は先行研究とほぼ一致していた。静脈穿刺の際には、肘正中皮静脈の尺側部の深層において、上腕動脈と浅上腕動脈の走行に注意する必要がある。浅前腕動脈が出現した際には、肘正中皮静脈の尺側部および前腕正中皮静脈の深層における動脈走行にも注意を払う必要がある。安全な静脈穿刺部位は、肘正中皮静脈の中央より肘正中皮静脈と橈側皮静脈の分岐部の間と考えられる。静脈穿刺の際には、動脈の拍動を視診・触診により十分確認することが重要である。

収録刊行物

  • 形態・機能

    形態・機能 10 (2), 86-93, 2012

    コ・メディカル形態機能学会

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