地球温暖化によるわが国のタンカン栽培適地の移動予測

  • 杉浦 俊彦
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 阪本 大輔
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 児下 佳子
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 杉浦 裕義
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
  • 朝倉 利員
    農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Predicted Changes in Locations Suitable for Tankan Cultivation Due to Global Warming in Japan

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抄録

ウンシュウミカンの産地のほとんどは,温暖化の進行によりウンシュウミカン栽培が困難になることが予測されている.そこで,ウンシュウミカンを改植する場合の判断材料を提供するため,わが国で最も生産量が多い亜熱帯性カンキツであるタンカンの栽培適地の変化を推定した.果実凍結試験の結果,タンカンの果実の耐寒性限界温度は約 −2°C と推察された.タンカンの適地は MIROC3.2-hires モデル(SRES-A1B 温室効果ガス排出シナリオ)から得られた将来の年平均気温に加えて,同モデルから得られた将来の日最低気温と現在の気温の変動から推定した将来の年最低気温を用いて推定した.シミュレーションの結果,2031–2050 年に関東平野以西の太平洋沿岸部のほとんどがタンカンの適地となり,現在のウンシュウミカン産地のうち沿岸部は 2050 年までにタンカン生産の適地となることが示された.一方,内陸部は現在のタンカン産地に近い九州南部でも 2051–2070 年において寒害発生頻度が高いと判定された.したがって温暖化の進行でウンシュウミカン生産が難しくなった場合,現在のウンシュウミカン産地のうち沿岸部はウンシュウミカンの代替としてタンカン生産可能であるが,内陸部は生産が難しいと推定された.

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参考文献 (16)*注記

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