シリコンシーラント由来の2-ブタノンオキシムによる室内空気汚染

  • 角田 徳子
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科
  • 大貫 文
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科
  • 大久保 智子
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科
  • 斎藤 育江
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科
  • 鈴木 俊也
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科
  • 保坂 三継
    東京都健康安全研究センター薬事環境科学部環境衛生研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Indoor Air Pollution by 2-Butanone Oxime emitted from Silicone Sealant
  • シリコンシーラント ユライ ノ 2-ブタノンオキシム ニ ヨル シツナイ クウキ オセン

この論文をさがす

説明

建築物における室内化学物質汚染の現状を把握するため,新築ビルの室内空気中揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds : VOC)調査を行ったところ,これまで室内空気からの検出報告が少ない2-ブタノンオキシムが3,570 g/m3と比較的高濃度で検出された。この室内では調査前日に工事が行われており,この時使用されたシリコンシーラントが2-ブタノンオキシムの発生源であると推察された。当所で行っている空気採取方法で2-ブタノンオキシムが測定可能か確認したところ,吸着剤にTenax TAを用いた加熱脱着法によるガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)による分析が,2-ブタノンオキシムの測定に適していた。高湿度条件下(28℃,相対湿度80%)において,2-ブタノンオキシムが通気により分解され減少するか調査したところ,Tenax TAを用いた場合,流速0.1 L/minで2時間まで回収率97.8%と安定して測定できた。また,新築ビル室内で2-ブタノンオキシムの発生源調査を行ったところ,パッシブサンプラーを建材表面に設置し,上からアルミ箔で覆うという簡便な方法で,シリコンシーラント塗布面からの2-ブタノンオキシムと,加水分解生成物である2-ブタノンの放散を確認できた。テドラー®バッグを用いたシリコンシーラントからの2-ブタノンオキシムの放散量測定では,2-ブタノンオキシムの濃度はシリコンシーラント塗布直後から上昇し,6日後に最大値48.0 mg/gを示した後,ゆるやかに低下した。また2-ブタノンの濃度は徐々に増加したが,2-ブタノンオキシム濃度の低下割合に比べると,その増加割合は低かった。

収録刊行物

  • 室内環境

    室内環境 19 (2), 131-137, 2016

    一般社団法人 室内環境学会

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ