トレーサーガスを用いた家庭用冷蔵庫の漏気・換気回数測定

書誌事項

タイトル別名
  • Measurement of air leakage and air change rates of a household refrigerator by tracer gas methods
  • トレーサー ガス オ モチイタ カテイヨウ レイゾウコ ノ ロウキ カンキ カイスウ ソクテイ

この論文をさがす

抄録

近年,家庭用冷蔵庫は大型化に加え,省エネ対策の一つとして,気密性を高める方法が検討されている。その一方で家庭用冷蔵庫の庫内にはエチレン,悪臭物質,カルボニル化合物をはじめとする化学物質の存在が確認されている。冷蔵庫の大型化,冷気漏れ対策が進むことによってこれらのガス状物質の庫内空気中濃度が高くなる可能性があり,食品の鮮度への影響,食味や風味の劣化,悪臭,もしくは庫内空気の吸入による健康影響の原因になることが懸念される。庫内に存在するガス状物質の挙動を把握するにあたり,冷蔵庫の漏気・換気量は重要なパラメーターとなるが,これに関する調査報告は見つからなかった。そこで筆者らは住宅の換気量測定に用いられているトレーサーガス法として,二酸化炭素(CO2)減衰法,およびヘキサフルオロベンゼン-パッシブ・サンプラー(HxFB-PS)法の適用を検討した。測定対象は,総容積225 Lの家庭用冷蔵庫とした。はじめに強制排気によって換気回数を0.2,0.3及び0.4回/hに設定した。その結果,両方法の設定値に対する測定値の相対誤差は2~30%であった。次にドアを閉じた冷蔵庫の漏気回数を測定した結果,CO2減衰法で0.18回/h,HxFB-PS法で0.21回/hとなり,両方法の測定結果に有意差は認められなかった。このことから,両方法とも冷蔵庫の漏気・換気回数測定に適用できることが示された。しかし,CO2減衰法はガスの減衰速度が速いため,ドアの開閉を伴う冷蔵庫の換気量測定は困難である可能性が示唆された。そこでドアの開閉を伴う冷蔵庫の換気回数をHxFB-PS法を用いて行った。ドアの開閉はJIS C 9801試験法に従い1日あたり冷蔵室35回,冷凍室8回とした。その結果,使用時を想定した冷蔵庫の換気回数は0.36回/hとなり,ドアの開閉を行わない場合の2倍程度であることがわかった。

収録刊行物

  • 室内環境

    室内環境 14 (1), 25-33, 2011

    一般社団法人 室内環境学会

参考文献 (4)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ