熊本県における「地域」の「生活課題」「生活文化」にかかわる家庭科の授業研究

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Home Economics Classes Regarding "Living Issues" and "Living Culture" of Local Communities in Kumamoto Prefecture
  • クマモトケン ニ オケル 「 チイキ 」 ノ 「 セイカツ カダイ 」 「 セイカツ ブンカ 」 ニ カカワル カテイカ ノ ジュギョウ ケンキュウ

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抄録

本研究の目的は,熊本県における「地域」にかかわる授業実践の実態を明らかにすることである。分析対象は,1970年から2004年に熊本県の教師らによって報告された526事例から,地域関連事例として取り出した287事例である。分析の視角は,発表年代,校種,領域,基準などである。その結果,以下のことが明らかとなった。1.収集事例に対する地域関連事例の割合は,校種別にみると,高等学校が高く小学校が低かったが,低い小学校でも30%強であった。年代別にみると,1970年代,1980年代,1990年代と増加し,2000年代に1980年代と同程度に減少していた。領域別にみると,福祉,環境,保育が高く,被服が低かった。これらのことから,熊本県では,「学習指導要領等」において「地域」と関連のある授業について明示される以前から,「地域」にかかわりのある学習方法で展開される,あるいは「地域」を学習内容とする授業実践が,校種を問わずに取り組まれていたが,その取り組みは領域によって異なることが明らかとなった。2.基準該当状況をみると,全体としては基準1のみ該当が23.3%であった,基準4該当が36.2%,基準5該当が15.3%であった。このことから,熊本県では,「地域」の「もの」や「こと」を扱ったり,「地域」の人や施設を活用するだけでなく,学習内容として「地域」の生活文化や生活課題,地域再生の動きまで扱われていたことが明らかとなった。3.基準該当状況を年代別にみると,基準1のみ該当が1970年代は26.5%であったが,2000年代には41.0%に増加していた。基準4や5も2000年代が最も少なかった。このことから,熊本県における「地域」にかかわる授業実践は,「学習指導要領等」に先んじた,しかも深い学びを追究する取り組みであったが,2000年代になりその傾向は幾分弱まったといえる。4.このような熊本県における「地域」にかかわる授業実践の動向に,熊本県家庭科サークルの活動が影響していると考察した。

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