手指消毒効果と手指細菌叢に影響する爪の長さ

  • 岡山 加奈
    兵庫県立大学看護学部看護生体機能学領域 広島大学大学院保健学研究科看護開発科学講座
  • 藤井 宝恵
    広島大学大学院保健学研究科看護開発科学講座
  • 小野寺 一
    広島大学病院診療支援部
  • 荒川 満枝
    大分大学医学部看護学科
  • 小林 敏生
    広島大学大学院保健学研究科看護開発科学講座
  • 片岡 健
    広島大学大学院保健学研究科看護開発科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of Fingernail Length on Antisepsis Effect and Bacterial Flora of the Hand
  • シュシ ショウドク コウカ ト シュシ サイキンソウ ニ エイキョウ スル ツメ ノ ナガサ

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説明

  2002年にCenters for Disease Control and Prevention (CDC)より公表された “Guideline for Hand Hygiene in Health-Care Settings” や2009年にWorld Health Organization (WHO)より公表された “WHO Guidelines on Hand Hygiene in Health Care” では,現場でより効果的に運用可能な擦式アルコール製剤を用いたラビング法と自然爪の長さが6.35 mm未満であることが推奨されている.我々は,自然爪の長さが擦式アルコール製剤を用いた手指消毒と手指細菌叢に及ぼす影響を細菌学的に明らかにするため,手指衛生について学習経験のある看護学生および大学院生17名を対象に検討を行った.その結果,自然爪の長さが短い群(2.4 mm)と長い群(5.4 mm)で比較すると,手指消毒後の手指菌数において,自然爪の長さが短い群は4.3 CFU,長い群は40 CFUと長い群の菌数が有意に多かった.爪下菌数は,手指消毒前後とも自然爪の長短による有意差を認めなかったが,手指消毒後にも関わらず自然爪の長さが2.4 mm以上では1.6×103 CFU/mm2以上の細菌が検出された.爪下と手指から検出される菌種は類似しており,coagulase-negative staphylococciやBacillus spp.の検出率が高く,菌数も多くを占めていた.さらに,自然爪の長さが長くなるとmethicillin-resistant S. aureusS. aureusのような医療関連感染原因菌が手指と爪下へ残存しており,除去することが困難であった.本研究結果は,自然爪の長さが長いと擦式アルコール製剤を用いた手指消毒効果が減弱することを示唆している.<br>

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被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (34)*注記

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