イネにおける株開張性と茎の負の重力屈性との関係

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タイトル別名
  • Relationship between the Spreading-Stub Phenotype of Rice and Negative Gravitropism of Stems at Tillering Stage

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説明

イネにおいて,株開張性は今後の草型育種での新規特性として取り上げられることが考えられる.この表現型を制御する要因として,茎基部の葉枕細胞内のデンプン顆粒が減少することによる負の重力屈性の低下が指摘されている.本研究では,株開張性遺伝子座TAC1で既報の塩基配列多型を示すことを確認した1直立型イネ品種および2株開張型品種を用いて,分げつ期における茎の負の重力屈性の違いを検討した.負の重力屈性の程度は,材料を栽植したポットを垂直面から45度傾ける傾斜処理に対する,および傾斜処理後の正立処理に対する茎の屈曲程度によって定量した.また,分げつ期の茎基部等におけるデンプン含量も測定した.その結果,株開張型品種は直立型品種に比べて傾斜処理および正立処理のいずれも負の重力屈性が弱いことが判った.さらに,株開張型品種は,葉枕細胞を含む茎基部において直立型よりもデンプン含量の低いことが示唆された.したがって,本研究は,これまでに報告されている葉枕細胞内デンプン顆粒減少に起因する負の重力屈性の低下によって株開張性が生じるという見解が,分げつ期の茎においても支持されうることを明らかにした.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 62 (0), 1-5, 2017

    近畿作物・育種研究会

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