MRSA感染症における追加的医療資源の推計

DOI Web Site Web Site 参考文献15件 オープンアクセス
  • 髙木 康文
    福岡県済生会飯塚嘉穂病院医事課 九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座医療経営学分野
  • 福田 治久
    九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座医療経営学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Quantifying Additional Healthcare Resource Consumption Associated with MRSA Infection
  • MRSA カンセンショウ ニ オケル ツイカテキ イリョウ シゲン ノ スイケイ

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説明

 本研究の目的は,MRSA感染症における追加的医療資源(入院日数・出来高換算医療費)の推計である.<br>  対象は調査病院を2012年12月~2014年12月に退院した患者で,解析手法はMRSA感染有無を目的変数にしたロジスティック回帰によって推定される傾向スコアによるマッチング法を用いた.傾向スコア推定後,DPC10桁が同一でスコアが近似するMRSA感染者と非感染者を1対1でマッチングした.また,時間依存バイアスに対処したマッチング法も併せて行った.両者の医療資源の差異の平均から追加医療資源を算出し有意差の検定は対応のあるt検定を用いた.<br>  解析対象症例数は24,538例で,感染者数は47名であった.MRSA感染症による入院日数の延長は時間依存バイアスに対処した場合:13.1日(95%信頼区間3.7日–22.4日,p=0.008)および医療費の増加は107.0万円(31.7万円–182.2万円,p=0.007)であり,時間依存バイアスに対処しない場合:21.2日(95%信頼区間11.7日–30.8日,p<0.001)および医療費の増加は160.7万円(64.3万円–257.0万円,p=0.001)と算出された.<br>  本研究は,傾向スコアを用い時間依存バイアスに対処したマッチング法でMRSA感染症による追加的医療費を推計した.結果,時間依存バイアスに対処しなければ結果を過大評価することが明らかとなった.本推計値は感染制御における費用対効果を計る資料として活用できる.<br>

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