乾燥環境への順化を利用したトマトの節水栽培の東北タイにおける適用性

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タイトル別名
  • Applicability of the Water-saving Tomato Cultivation Technology using Drought Acclimation in Northeast Thailand
  • カンソウ カンキョウ エ ノ ジュンカ オ リヨウ シタ トマト ノ セッスイ サイバイ ノ トウホク タイ ニ オケル テキヨウセイ

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抄録

乾燥環境への順化を利用したトマトの節水栽培法の適用性を,2003年12月から2004年4月にかけての東北タイの乾季において検討した.畝幅1m長さ30mの試験区を2つ作り,一方をマルチで覆い,隣接個体の影響を受けないよう1m間隔でトマト(Lycopersicon esculentum Mill cv. Seeda)を定植した.試験圃場の土質はLoamy Sandであった.灌水は定植時,定植16日目,同35日目に各株250mL施した.ただし,後半の2回は液肥(NPK: 120-90-60 ppm)で施した.対照区は週3回水250mL を施用した.試験開始時の作土は極度に乾燥していたが,定植後11日目の29mmの降水により一旦圃場容水量に達した.その後61日間は殆ど降水が無かった.開花期の根系は,無マルチ区が土中深く伸長していたのに対し,マルチ区および対照区は地表付近に根群を形成しており, とくにマルチ区は根域が水平方向に広かった.果実の糖度は対照区が4度であったのに対し,処理区は7~8度と上昇していた.生育の個体間差は非常に大きく,個体当り収量は,マルチ区で0~388g,無マルチ区で0~65g,対照区で0~210gの間に分布した.枯死個体もあったが,水分不足が直接の原因と見られるものはなく,生育差は養分不足等水分以外の要因によると見られた.マルチ区の最大収量は,標準栽植密度に換算すると1035 g・m-2となり,同年の現地平均収量1133 g・m-2に近く,試験結果は,東北タイの乾季においても,少なくともマルチを使用すれば,ほとんど灌水することなく,シーダトマトが栽培できる可能性を示すものであった.

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