ハクサンハタザオ(<i>Arabidopsis halleri</i> ssp. <i>gemmifera</i>)およびその近縁植物の重金属集積性に関する研究

書誌事項

タイトル別名
  • <i>Arabidopsis halleri</i> ssp. <i>gemmifera</i> and its relatives as a model of metal accumulating plants
  • ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri ssp. gemmifera)およびその近縁植物の重金属集積性に関する研究
  • ハクサンハタザオ(Arabidopsis halleri ssp. gemmifera)オヨビ ソノ キンエン ショクブツ ノ ジュウキンゾク シュウセキセイ ニ カンスル ケンキュウ

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説明

重金属集積植物とは重金属を植物体地上部に高濃度に集積する植物種である.ヨーロッパに分布するアブラナ科植物Arabidopsis halleri ssp. halleriは代表的なカドミウム・亜鉛集積植物である.ハクサンハタザオ(A. halleri ssp. gemmifera)は日本を含む東アジアに分布するA. halleriの一亜種であり,ssp. halleriと同様に金属集積性を持つことが報告されている.A. halleriはモデル植物であるシロイヌナズナ(A. thaliana)の最も近縁な植物種の1つであるが,シロイヌナズナとは重金属集積性だけでなくゲノムサイズや染色体数,生殖様式等が異なる.A. halleriはモデル生物とその近縁種を比較することにより遺伝子の機能や生物の進化や多様性を解明する,いわゆる比較ゲノム学の研究対象として近年注目を集めている.A. halleriのアクセッション間で遺伝特性を比較することにより,重金属集積性につながる遺伝子リソースの探索が行われている.これまで重金属集積植物は土壌環境に左右されず重金属を吸収すると考えられてきたが,筆者らは石灰岩土壌で得られたハクサンハタザオは亜鉛を集積していないことを見出した.本稿では,A. halleriを利用した植物の重金属集積機構の解明研究のこれまでの進展を概説する.さらに,Arabidopsis属植物の進化の過程を解明する種々の研究にもA. halleriが利用されている研究例を紹介する.

収録刊行物

  • 作物研究

    作物研究 60 (0), 1-12, 2015

    近畿作物・育種研究会

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