Fr. Hebbel の抒情詩より見たる Goethe 覊絆よりの離脱と文芸観の確立
書誌事項
- タイトル別名
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- HEBBELS KUNSTAUFFASSUNG UND SEINE BEFREIUNG VON GOETHES EINFLÜSSEN
- mit besonderer Rücksicht auf seine Lyrik
抄録
Hebbel は Goethe の影響を受け, 彼の抒情詩における最高峰とされる Heidelberg 時代を現出した。然るに羅馬において詩作した「春のいけにえ」を彼自身は傑作とする。この詩の主題は, 風なきに散る「花の雨」であり, 最高頂に達した美は次ぎの瞬間には, 散り行く「美のそれ自体に対する戦慄」である。ミュンヘン, 伊太利, ウィーン時代における彼の推す何れの詩においても, この題材がくり返され, 戯曲における彼の「Versöhnung」とは, その根本において, 同一理念なる事を認める。即ち彼の「調和」は, 彼がゲーテを受けとめた個人対個人の所謂「個人的調和」にあらずして, 個人対宇宙との汎悲劇的「調和」である。此処にゲーテの覊絆を脱して, 自己自身の様式を発見したるが故に, これより彼は世俗の受けを意に介せずして詩作し, 円熟の時期といわれる戯曲第二期に対して,「詩が先行した」との彼の言葉は至当なり。それ故に Gurlitt 宛の彼の書簡における,「ゲーテと私との間の相違は, ゲーテは不調和以前の美を, 人生の反抗的な力や要素に就いては皆目心得ておらず, 全然知ろうともしない夢想-美をもたらし, これに反し, 私は不調和を美自体の中へ摂取した美, 一切の反抗的なものを克服する事を心得ている美をもたらそうとする点にある」の言葉こそは, 彼を古典主義, 浪漫主義と劃するものであり, 後の自然主義ともわかち, 且つ詩的写実主義の詩人としての近代性を与えるものである。
収録刊行物
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- ドイツ文學
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ドイツ文學 33 17-27, 1964
日本独文学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390282680276252288
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- NII論文ID
- 130003434096
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- ISSN
- 21870020
- 03872831
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可