自然気胸手術症例の検討

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タイトル別名
  • CLINICAL STUDIES ON SURGICAL SPONTANEOUS PNEUMOTHRAX
  • シゼン キキョウ シュジュツ ショウレイ ノ ケントウ

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抄録

昭和41年1月より昭和53年6月までの12年間に,本学第1外科で外科的治療の行なわれた自然気胸の症例は28例であり,過去3年間で19例と急速な延びを示した.気胸発生側は左側18例,右側10例と左側に多く発生している.年齢別では, 20代が最も多く,ついで10代, 10代20代の症例が74%を占めていた.性別では男子に多く(93%),女子は2例であった.各々の症例について入院時の肺虚脱度をみると20~40%が12例と多く,外科症例の入院時平均肺虚脱度は42.7%であり,保存症例のそれば40.5%であり,有意の差はなかった.初発症状及び既応回数をみると,胸痛と呼吸困難が,症例の大半を占め,初回から過去2回(3回目)が85%を占めていた.身長と体重の相関をみるとやせ細型の体型を示すものが多く,肥満者は全くなかった.又,自然気胸の入院後手術までの間に行なわれた治療では,ドレーン挿入を行った症例が多く(75%),持続吸引とビューロー法の両者を用いている場合が多い.入院時の合併症として血胸2例,他側気胸2例あり,合併症のない症例は22例(78%)であった.<br>次に手術適応になった理由で最も多いのは短期間の再発であり,次に長期間の肺虚脱,長期間の再発,術前ブラ確認などが主なる理由であった.私共の手術適応としては, (1) 再発症例(3回以上), (2) 肺の再膨脹不全症例(15日以上), (3) エアリークの続く症例(15日以上), (4) 血気胸症例, (5) 胸膜胼胝形成による肺再膨脹不全症例, (6) 胸部X線所見からブラ・ブレーブが認められる症例等が考えられたが,肺虚脱度と手術適応とは相関しないので手術適応には上げられなかった.次に手術術式では,ブラ縫縮が50%,ブラ含め部分切除43%,上葉切除,止血のみ各1例行った.手術方針としては,基本的には腋窩開胸を行い,ブラ切除か縫縮を主として行う.再発防止の意味から胸壁の擦過を行うことが肝要であると考えた.

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