食道平滑筋腫の3例

書誌事項

タイトル別名
  • THREE CASES OF ESOPHAGEAL LEIOMYOMA
  • ショクドウ ヘイカツ キンシュ ノ 3レイ ホンポウ 264レイ ノ ブンセキ
  • The Analysis of 264 Cases Reported in Japan
  • 本邦264例の分析

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説明

最近,私たちは稀な疾患とされている食道平滑筋腫を3例経験したので,本邦報告例264例(1979年7月まで)を集計し,若干の文献的考察を加えて報告する.<br> 私たちの症例は3例とも女性で,年齢は45歳, 51歳, 50歳,主訴は嚥下困難,心窩部痛であった. 1例は,胸部単純撮影で石灰化を伴なう腫瘤陰影が認められたが,他の2例では,食道X線透視で異常が指摘された.腫瘍の占居部位はそれぞれ,下部,中部,中部であった.全例に内視鏡検査が施行され,いずれも,粘膜には異常なく,周囲との境界は明瞭で,明らかに,粘膜下腫瘍の所見であった. 2例に生検が施行され, 1例に,平滑筋腫の組織診断がついた.第1例では,腫瘤が大きく,粘膜が非常に薄く,拇指頭大の憩室が合併したために,食道下部噴門切除術が施行されたが,他の2例では核出術が施行された.摘出腫瘤の大きさは, 12×9×3cm, 3.5×1.7×1.5cm, 1.9×1.6×0.9cmであり,組織学的には,いずれもよく分化した平滑筋腫であった.尚,第1例と第3例には石灰化巣が認められた. 3例とも術後経過は良好であった.<br> 本症は,本邦では自験3例を含めて264例が報告されており,性比は1.6:1で男性にやや多く, 30歳から50歳が全症例の半数近くを占め,平均年齢は41.7歳であった.腫瘍の発生部位は下部が最も多く,多発例も7.2%に認めらた.大きさは,米粒大のものから長径24cm大のものまであり,長径5~10cm大のものが最も多かった.又,大きさと術式との間には関連性はなかった.さらに術式について検討を加え,長径が大きい場合,輸状に発育した場合,粘膜との剥離困難な場合,及び合併病変(特に癌)のある場合を食道切除術の適応と考えた.<br> 本邦では術前診断のついた症例は少なく,術式決定の上でも,正しい術前診断が重要である.

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