小児脾周囲膿瘍の1例

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  • A CASE REPORT OF PERISPLENIC ABSCESS IN CHILDREN
  • ショウニ ヒ シュウイ ノウヨウ ノ 1レイ

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抄録

脾膿瘍,脾周囲膿瘍は非常に稀な疾患である.しかし疾患自体は古くから知られており抗生剤の普及する以前は,熱帯地方に多発していた.これも抗生剤の普及につれ減少し,本邦においても我々の調べた範囲では1952年以後8例と少ない.発生原因も色々あるが,我々は外傷が原因と思われる脾周囲膿瘍の1例を経験したのでその概要を報告し,あわせて若干の文献的考察を加えた.<br> 症例は6歳の男児.左側腹部をブロックにぶっつけ翌日より38°Cの発熱が持続,不明熱として受傷後35日目に当科へ転科した.腹部X線写真, Ga67citrate, CT等より本症と診断,ドレナージ手術を施行した.術後は劇的に解熱,軽快退院した.<br> 本症の起炎菌としては, Gonococcus以外のあらゆる化膿菌が関係するといわれており,我々の症例は, Ps. aeruginosaであった.小児の場合,脾摘後の重症感染症罹患の危険性が高いという事もあって,脾損傷に対して非手術的治療法が検討されつつある.今後,脾膿瘍,脾周囲膿瘍の増加する事が予想され,したがって外傷後の経過観察は,充分注意をはらい,不明熱の場合は,本症を疑ってみる必要がある.不幸にして脾膿瘍,脾周囲膿瘍におちいった場合,外科的処置が不可欠で,現在のところ,可能な限り脾摘がおこなわれている.しかし,小児においては,脾摘後の問題や我々の症例の様にドレナージが有効であったた例もあり,今後の検討を要する.

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