胆管癌に対する肝切除前肝内門脈枝塞栓術

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  • PREOPERATIVE TRANSCATHETER EMBOLIZATION OF THE PORTAL VENOUS BRANCH FOR PATIENTS RECEIVING EXTENDED LOBECTOMY DUE TO THE BILE DUCT CARCINOMA

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抄録

肝門部胆管癌に対する拡大肝葉切除術は非癌部の切除量が多い故に,術後リークや肝不全など術後合併症を起し死亡することもまれではない.そこで,肝切除後の残肝負荷の軽減を目的として, 14例に肝内門脈枝塞栓術を行った.<br> 肝内門脈枝塞栓術後は発熱,疼痛とも軽微であり,血清トランスアミナーゼ値は10日前後で前値に復した.<br> 開腹時門脈塞栓側の萎縮は著明ではなく, 3例に色調の変化と細い皺が肝表面に認められたにすぎなかった.<br> 肝内門脈枝塞栓術施行14例中9例に拡大肝葉切除が行われた.右横隔膜下膿瘍2例, IVHカテーテル感染,術後HB肝炎各1例の合併症をみたが縫合不全は1例もなく,全体として術後管理が容易であった.<br> 本法は,本庄の門脈枝結紮術の発想にヒントを得て施行したものであるが,血管造影の手技を応用するので,結紮術による癒着もなく肝門の脈管の剥離は無処置例と同様に行える利点を有する.また,塞栓術によって不利となる点は全く認められず,非塞栓側の代償性再生肥大,肝切除後の門脈圧の上昇の軽減など,拡大肝葉切除の施行には有利な点が多いと思われた.

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