定型的大動脈縮窄症41例の外科経験

書誌事項

タイトル別名
  • SURGICAL EXPERIENCES FOR 41 CASES OF COARCTATION OF THE AORTA
  • テイケイテキ ダイドウミャク シュクサクショウ 41レイ ノ ゲカ ケイケン

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説明

昭和56年12月末までの過去25年間に外科手術を行った大動脈縮窄症は41例で,その内訳は,管前型17例,管部型5例,管後型19例となっている.管前型17例のうち,早期に失った6例は,いずれもCoarctation Complexであった.管前型極型で左subclaviansteal症候群を伴った例に,ダクロングラフトによるバイパス術を行い,術後右上,下肢の不全麻痺が出現したが,術後10年の現在健在である.<br> 管前型の晩期死は3例でいずれもCoarctation Complexであった, 1例はPDA離断術のみを行ったが,術後6カ月に心不全で, 1例はPDA結紮術と肺動脈絞扼術後, 1年2カ月後にBlalock-Park法,ついで4カ月後に, VSDパッチ閉鎖を行ったが腎不全,呼吸不全で,他の1例は縮窄部切除・端々吻合を行ったが,状態の改善が得られず, 1カ月後に高位VSDのパッチ閉鎖を行ったがLOSで失った.<br> 管部型および管後型の早期死はない.管部型の1例にsubclavian flap法を用い,良好な術後経過を得,今後とも試みる方針である.<br> 管後型2例に再手術を行った.1例は初期の例で,テフロン人工血管置換3カ月後に,吻合部仮性動脈瘤にて,再人工血管置換を行ったが, 2カ月後に喀血にて失っている.<br> 他の1例は,テフロンパッチによる縮窄部拡大術を行い経過良好であったが,術後7年目より胸部X線写真上に異常陰影をみ,術後10年目に,テフロンパッチ部分の仮性動脈瘤を確認し,再手術により瘤切除・ダクロン人工血管置換を行い,術後2年の現在経過良好である.このように本症は術後綿密な長期経過観察の必要性がある.

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