妊娠・授乳期乳癌の検討

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タイトル別名
  • BREAST CANCER IN PREGNANCY AND LACTATION
  • ニンシン ジュニュウキ ニュウガン ノ ケントウ

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抄録

日常臨床において比較的まれにしか経験しないといわれている妊娠・授乳期乳癌について検討し,併せて妊娠可能年代の一般乳癌との比較を行った.本症の頻度は全乳癌の1~3%といわれ,教室の症例も186例中4例, 2%で一致した頻度であった.妊娠・授乳期乳癌は一般乳癌と比べ病悩期間が長く,またその予後も悪い.その要因としては,本症特有の生理現象のために,診断が遅れたり,誤診されることが大いに関与していると考えられた.しかし,リンパ節転移の認められない症例ではその予後は一般乳癌とほとんど差はなく良好であるため,妊娠,授乳期乳癌といえども決して悲観的な疾患ではなく,他の疾患と同様,早期発見,早期治療の重要性が示唆された.そしてその為には本症を常に念頭においた診療が望まれ,疑わしいものは穿刺吸引細胞診や積極的な生検が必要である事を報告した.さらに妊娠中絶,卵巣摘出の是非,再妊娠の時期について文献的考察を加え,妊娠中絶か卵巣摘出は根治性のある本症に対しては消極的な意見が多く,再妊娠はリンパ節転移の認められない症例では3年以上,転移陽性例では5年以上もしくは永久避妊が望ましい事をのべた.

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