伊藤若冲という生き方 : 作品の分析と求道の考察 : 「動植綵絵」を中心に、禅宗、分析心理学の視点から

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Ito Jakuchū's paintings and his way of life : from the perspective of Zen Buddhism and analytical psychology
  • イトウ ジャクチュウ ト イウ イキカタ サクヒン ノ ブンセキ ト キュウドウ ノ コウサツ ドウショクサイエ オ チュウシン ニ ゼンシュウ ブンセキ シンリガク ノ シテン カラ

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抄録

近年、卑近なものを題材にしながら大胆な構成、目を見張る色彩で装飾的にも芸術としても高い評価を得ている伊藤若冲作品の特徴を色彩、題材、作者の生き方などから分析する。若冲作品はその成立から250 年を経て現代もなお斬新な驚きをもって広く受け入れられている。主に、若冲作品の初期の代表作「動植綵絵」の分析によって見えてくるものについて、分析心理学、禅宗、華厳教の視点からその作品創造の原点を検討する。それによって、芸術の専門家とは異なった視点からその作品の意義、美しさの意味、および作者の深層の心情を明らかにすることを意図した。結果として、若冲の動物綵絵は、決して派手な色彩で彩られているわけではなく、地味な背景に輝く白が特徴的であった。題材は、卑近な生物の緻密な描写から想像上の生き物の模写まで幅広く、構図はむしろ抑制と熟慮の利いたものであった。その緻密な描写による生命の迸りには、臨済禅宗徒の絵師伊藤若冲の心の深い境涯への没入と見性が示唆された。彼こそは真の芸術家と呼ばれるに相応しい稀有な存在であることが示唆された。

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